第1話

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すると、たまたま10円玉から指を離してしまった子がその噂を聞いて恐がって泣き出してしまったため、クラスメイトたちはぶんちんさんの遊びをほとんどしなくなった。 そして、亜子は居心地のいい環境を手にいれたのだった。 オカルトを信じたこともなければ、神事さえ疑わしいという考えで生きてきた。 そんな亜子も今年で31になった。 世間では “厄年” と言われる年齢。 “運命は自分の手で切り開くもの!”という言葉が座右の銘の亜子にとっては、厄年にお祓いをしないと不幸になる。なんて迷信は全く信用ならないものだった。 2年前にあった高校の同窓会で、当時の同級生に    「来年わたしたちって前厄だよね ? やっぱお祓い行っとくべきかな~!?」 と聞かれて 「前厄って何?」 と反対に聞き返したら、 「あんたって、本当に昔から恐れを知らずに生きてるって感じだよね? なんかくだらない悩みなんてなさそで羨ましいわ!」 と軽い罵倒を受けた。
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