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結婚をして家庭も持って、そして可愛い子どもも授かった。
夫婦で共働きだからそれなりに子育ても大変だが、どれだけ家族が今の自分の支えになっているか、ということを愛美は日々感じていた。
そんな幸せを知っている立場の愛美からしたら、いつまでも独りで次から次へと男を替えて生きている亜子の考えがいまいち理解し難いものだった。
「で、また振られたの?」
大抵、亜子から別れを切り出すなんてことはない。
なぜなら、別れたいと思うほど彼氏とのつき合っている期間がいつも短いから。
それに、忙しい仕事の合間を縫ってまでわざわざ相手を呼び出して別れ話しをするなんてただの時間の無駄だ、とさえ思っていたからだった。
したがって、
愛美が亜子が振られたことを前提とした質問をするのは必然だった。
「うん。まぁ、そーゆうこと。
なんか、お前ならサハラ砂漠でも独りで生きてけるとかなんとか言ってた、かな?」
なんてヘラヘラ笑いながらこたえる亜子。
「つまり、お前みたいに強くて可愛げない女は願い下げって言われたってことでしょ?
あんた、女としてそこまで言われて悔しくなんないの?」
「え、サハラ砂漠ってそーゆう意味だったの?
いまいち言ってることが分かんなくってさ~、
まぁ、別れたいってことなんだろうな~、て思ったから深く考えなかったんだよね。」
まるで他人事のように軽くしか考えない亜子に、愛美はガックリ肩を落としてうなだれた。
せっかく誰もが羨む可愛らしいルックスを持っているのに、それを使い切れていないのだから宝の持ち腐れもいいところだ。
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