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「あんたがいまいち恋愛に真剣になれないのって、やっぱり初恋の男のこと未だに引きずってるからなんじゃないの?」
ギクッ。
愛美のその言葉に、一瞬、デザートのプティング食べようとスプーンを持っていた亜子の手が止まった。
それは、亜子にとっては突っ込まれたら一番痛い過去だからだ。
「そ、そんなの何年前の話しよ?
もうそんなの忘れちゃったし…」
しどろもどろになりながら応えた亜子に、愛美はやっぱりか…と確信した。
「初恋の男ってのは何才になってもけっこう忘れられないもんよ?
特にあんたの場合は良い思い出として残ってる記憶じゃないんでしょ?
それじゃあ、尚更忘れられない。
そうゆうことじゃないの?」
亜子にとって初恋の相手は、はじめて付き合った相手でもあった。
ずっと亜子が片思いをして、ようやくその思いが実ったのは高校1年生の夏休み前だった。
はじめて手を繋いだ日のこと。
はじめてキスしたときのこと。
そして、はじめて結ばれたときのこと。
亜子のはじめては全て初恋の彼氏とだった。
幼いけれど、真剣で本当の愛だと呼べる付き合いだったと亜子は思っていた。
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