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「え、何々?奴隷??笹中くん奴隷なの??」
「元だよ、元!今はちげーよ」
興奮気味に身を乗り出す篠田さんから視線をそらして、バレないように小さく溜め息を漏らせば、
「私、Mっ気男子も嫌いじゃないわ~」
思った通り、色々誤解が混じった妄想を膨らませて熱っぽい溜め息を溢していた。
篠田さんの頭の中はエロでいっぱいらしい。まったく、イヤらしい女だ。
「ちょっと、ゆりこ!お昼前からヤメテよ」
「そんな怒んないでよ~。モッテモテのモテ子ちゃんが眉間にシワなんて寄せちゃダメでしょ、もう」
てへへ、と笑って篠田さんが菜月の眉間をコツンと叩くと、
「も、モテないし…!」
耳まで真っ赤に染めて菜月が慌てて眉間を抑える。
昔から男勝りで気の強い菜月。男子に混じって外を駆け回っていた菜月が女の子扱いされるとこんな風に決まって顔を赤くする。
元々顔は童顔で背だってちっこかったから、見た目だけでもかわいい方の部類に入るんだろうけど、
いつも気が強い菜月が真っ赤になって恥ずかしがるそのギャップが余計に男心をくすぐるらしい。
飾らない、媚びらない、いつも素で笑顔を振りまく菜月はモッテモテのモテ子なんだとか。
前に友達の渉がそんなことを話してた気がする。
ま、オレには恐ろしい悪魔とか、野蛮な野生人にしか見えねぇけど。
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