高嶺の華

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カラ………。 静かにドアが開く。 「しお………」 ………………俺は、バカだった。 何で、何で詩織だと期待してるんだよ。 詩織が来るはずないのに。 俺は入ってきた里井から目をそらす。 「あれー?何、絶望的な顔してるのぉ?私じゃ期待外れだったのかなぁ?」 …あぁ、そうだよ。 「そんな事ないよ」 俺は笑顔をつくる。 自分の考えてることとは真逆のことばかり口から出てくる。 「そっかぁー!良かったっ」 「当たり前だろ?」 良くねぇよ。 全く良くない。 俺はお前といても楽しくないから。 もうやめたいよ。 でもやめられないよ。 俺は詩織と幸せになりたいよ。 でも、なれないよ。
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