セッション4

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いつも通り帰り道、僕達は歩いていた。 「葵、こっちからでもいいの? 確か違う道じゃなかったっけ?」 「うん、そうだけど皆と帰りたくて……一人、だったから……」 「まあ、僕達でいいならそれでいいんだけどね」 ちなみに葵もいます。本当は違う道から帰った方が近いらしいけど。 そして何で僕はこんな質問しちゃったんだよ。 そのせいで葵の表情暗くなっちゃったじゃないか。 「でも、今は理樹君がいるから寂しくないよ!」 「……それなら良かった」 葵の純粋な言葉で何か浄化される。 頼られるっていいね。これなら正義まがいな事も悪くないかなって思える。 「でね、あの時の理樹ってば、葵をいじめてた不良を一発で沈めちゃったんだよ!」 「そ、それは凄いですっ……本当に護身術なんですかっ……?」 「そして唯、何でそんな余計な事教えたの?」 唯が咲に僕が葵を助けた話をしていたので突っ込む。 いや、全部事実だけどさ。確かに一発で沈めちゃったけど。 大丈夫、護身術ダヨー? 「じ、実は前回のロールプレイは素じゃ……?」 「違う、断じて違う」 咲のその言葉に僕は違うと言った。 違う、あれは本当に現実では言えないような臭い台詞を言っただけなんや。 「……そういえばあの時、理樹君に何もお礼してない……」 「友達になってくれって言って友達になったじゃ」 「それだ!」 「ひゅいっ!?」 葵の言葉に僕は答えると、その言葉を遮って唯が指を差しながら叫ぶ。 思わず河童のようにびっくりしたじゃないか。 「それも十分臭い台詞! つまり理樹、あなたは現実でもそういう行動を取っているのよ!」 「ナ、ナンダッテー! ……ってただこれやらせたかっただけじゃん」 「大正解!」 そしてただこれがやりたかっただけという。 まあ、あの時の言葉は臭いと今なら分かる。 ……あ、分かれ道だ……。 「それじゃあ、またね!」 「うん! また明日ね!」 「ま、また明日ですっ……」 「理樹君、またね!」 僕は皆に手を振りながら皆と別れる。 皆も手を振り返してくれる。 ……葵が明るくなって何よりかな? そう思いながら僕は家に帰った。
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