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「おい君、娘は助かるのか?」
国民党党首原圭一が刑事に聞く。彼は戸乱模慧司〔とらんも さとし〕刑事だ。
「犯人から身代金の要求も、交渉も何もなく、こちらからはどうにも出来ない状況にあります。
ただ、娘さんがまだ帰ってきていないところと現場近くから逃げていく車が監視カメラに映っていた状況から断定としたのみで。
ですが、今鑑識によって監視カメラの映像の鮮明化をしています。
車の車種が分かれば聞き込み調査も出来ますので。
全力で娘さんの救出をしたいと思います」
スーツのとても似合わない、眠そうな青年だ。
だが、目が透き通っている。
まさに自分の信念を突き通すまっすぐとした人間のようだった。
その青年がリビングの扉のほうを向く。そして口を開いた・・・
「どうぞ入ってください」
その言葉のあと、一人の男が入ってくる。
茶色のジャケットを着ている。30代前半で贅肉のない男だ。
「この人が今日事件の捜査に協力してくれる探偵です。
本来警察は探偵と協力して事件を解決することはないのですが、今回は挑戦状の件もあり合同捜査をしくことになりました」
「よろしくお願いします」
礼儀正しく落ち着いた表情で小さく礼をした。
「あぁ。何でも良いから頼むよ」
と言い、青年の肩を叩くそのあと探偵の肩も叩いた。
そして歩いてソファーにもたれかかり無表情のまま天井を見つめていた。
「今日はよろしくお願いします」
まず青年が挨拶する。
「はい、こちらこそ」
両者は形式的な挨拶をした。
そのあと探偵はリビングの隣の部屋に入って行った。
「入電です!」
戸乱模の部下が大声を上げる。
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