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と言ってすっぽり身体に埋め込まれてしまいます。妹と同じ行動をするというのは、心の何処かで結託しているということでしょうか。確かに二人が仲が悪い様子というのを見たことがありませんが。ただこうして抱きしめられていると、暖かくなって段々と眠くなってきます。思わずおやすみなさいといってしまいそうな感じです。
さて、いつまでもこうしていても、学校に遅刻してしまうと気づいた僕たちは、僕の両手をそれぞれ持つようにして繋ぎ合わせて歩きます。こうするとたまに僕の足が地につかなくなって非常に困ったことになるのですが、二人はあまり気にしていない様子です。
僕が月に何度か行っている温泉施設を通り過ぎ、コンビニやドラッグストア等が立ち並んだ道を通り過ぎて行くと、土の道からコンクリートに変わり。坂道が待っています。
一年生の頃は歩くのに苦労したものですが、今では簡単に……というより二人に持ち上げられているのでほとんど歩いたことがありません。僕はそこまでされなくてもきちんと歩けるのですが、二人とも僕の話はあんまり聞いてくれません。お願いならかなりの確率で聞いてくれるのですが、その違いはよくわかりません。
校門までたどり着くとようやく足が地につきます。みんなそれぞれクラスと学年が違うので、生徒玄関でお別れをします。双子の妹である喪華とは途中まで一緒になりますが。
歩いていると、かすかに可愛い、可愛いという声が聞こえてきます。中には男子生徒からも可愛いとの声が聞こえてきますが、それは妹に対する賞賛であることを願いたいものです。
クラスの違う妹とはここでお別れ、そんなふうに悲しそうな表情をされてもいつものことだから慣れてほしいものです。僕のクラスに入ると、窓際の前から二列目の席に座ります。
「おはよう愁、いい朝だね、ボクはとても健やかだよ、朝から君に会えたから」
と、男の子みたいな口調で話す女の子は、白道葛さん。名前がクズとか嫌だから苗字で呼んでと昨年に言われてそれ以来、白道さんと呼んでいる。
実際に男勝りで背が高く、いやし姉さんよりももう一回り背が高い。女の子から人気が高いんだけどこうして僕を特に気にいっているみたいです。
「おはよう、愁、相変わらずぼんやりとしてんのね、目くらいちゃんと開けなさいよ」
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