第22章 第二の殺人

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 清水は、正直な所、司法解剖の結果を聞いて、少しホッとした。  もし、殺害されたのが昨日だったなら、犯人を逃がしてしまった責任を厳しく追及される所だった。  言い訳がましいが、昨日の時点で、死んでいたのだから、神でも命を救う事は不可能だ。  何れにしても、警察の完全な敗北だった。  長野県警の威信にかけても、必ずや誘拐殺人犯を、逮捕しなければならない。  清水捜査官は、県警本部に連絡し、捜査員を更にかき集めて、目撃情報の聞き込みを、徹底的に強化した。  木内刑事は、4~5日前という石墨の死亡推定日を聞いて耳を疑った。  それが本当だとすれば、矢崎と石墨は、ほぼ同じ日に殺害された事になる。となれば。。。捜査は振り出しに戻ってしまう。  頭を抱える木内に、金子が話しかけてきた。 「木内さん、司法解剖の結果からすると、矢崎と石墨は、同じ日に殺害されたと言う事っすよね」 「そうだ。当たり間の事を一々、聞くなよ」  とぶっきら棒に言った。  不機嫌さが、口調に出てしまった。 「ありゃ、木内さん。虫の居所がわるいんですね。。。」 「当たり前だ。第1容疑者の石墨が殺されてしまったんだ。おまけに、今回の件で、石墨の誘拐殺人事件の方に、更に人員を持っていかれた。矢崎殺しの方は、俺とお前だけだよ。このまま行ったら、この事件はお蔵入りだよ」 「そうですかね?俺はむしろ、解決に一歩、近付いた気がしますけどね。矢崎と石墨の殺害状況は、酷似しています。おそらく同一犯でしょう。」  金子はしたり顔で、顎鬚(あごひげ)をいじった。
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