一雫の憧憬

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「かほちゃん、一緒にリレー出れるなんて思わなかった!」  三人の先輩のうち、二人は挨拶程度の面識しかなかったが、一人だけ、普段の練習の時からよく話してくれていた先輩がいた。  有沢ゆみ先輩だ。  有沢先輩はこの女子競泳部の部長を務めている。技術がずば抜けて優れているというわけでもないが、学年関係なしに分け隔てなく接するため、部員たちから慕われていた。  身長が高く手足の長い彼女は、私を含めて低身長が集まったこの部活の中では目立っていたし、競泳部の中では珍しくきれいなロングヘアを保っている。長い間塩素の入った水に浸かって傷んでしまい、ずっとボブにしている私は、高い位置で縛られた先輩の長い髪の毛をうらやましく思っていた。 「これから四人でがんばろうね」  二年の部員の中で唯一リレーメンバーに選ばれたということは、不安だったものの、やはり嬉しくて、私は有沢先輩の言葉に大きく返事をした。
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