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それからの部活の時間は個人種目の練習をしつつ、リレーメンバーで集まって練習するようになった。二年生は私だけなので、私は自由形でほぼ決定。他の技術が必要な泳法は、先輩たちが何度かローテーションして決めることになった。
「うーん、背泳ぎが小暮ちゃん、平泳ぎが立木ちゃん、バタフライが私、自由形がかほちゃんかな」
「なんだ有沢、やっぱりバタフライじゃん」
ベンチを背にして立っていた私の後ろから突然声がして、驚いて後ろを振り向くと佐々木先輩が立っていた。
「佐々木くん、ここ、女子のプールなんだけど」
佐々木先輩は、第二プールの方で活動している男子競泳部の部長を務めている。
「コーチに用があるんだよ。ほら、俺が言った通りだっただろ? 有沢が一番肩幅が広いし」
「うるさいっ。コーチに用があるなら早く行ってよ!」
「はいはい。あ、君が斉藤さん?」
棒立ちだった私は突然顔を向けられたことに驚いて、頷くことしかできなかった。
「なるほどねー。有沢から話は聞いてるよ。このチームで二年は君だけだけどがんばれよ」
「は、はい。がんばります」
じゃー、と言って佐々木先輩は今度こそコーチの元に向かった。
有沢先輩はその後姿をしばらく見送っていたが、私達の視線が自分に集まっていることに気がついて、慌てて私達のリレーについての話を始めた。
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