【第6話】どこまでも続く匂い1

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例えば目は、 その二つの網膜に映る絵のずれから、 立体感を認識することができるという。 耳は、 その二つに届く音のわずかな時間的ずれから、 方向を認識することができるらしい。 どちらも顔の限界まで距離をおいて存在することで、 能力を発揮しているが、 ではなぜ鼻の穴だけが顔の真ん中にふたつ、 寄り添うように存在しているのだろう? 鼻は、 目や耳のように小細工をしなくても、 充分その能力を発揮できるということなのだろうか・・・。 宇崎の団地から、 犯人の匂いを追って歩き始めてから、 かれこれ三時間になるだろうか。 ふたりは第三京浜の川崎インターの入口に立っていた。
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