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「天!!いい加減起きねぇと遅刻するぞ!」
僕はそんな声にたたき起こされて、瞬きを繰り返した。
「何時…?」
時計を見ると、七時。
確かにあまり早いとは言えないな。
それ以上寝ているわけにもいかず、僕は体を起こした。
「入るぞー」
返事をする前にドアが開く。
いつもこうだ。僕の答えを聞いたためしがない。
まあ、いきなり入られて困るようなことはあまりないのだけれど。
「おはよ、天」
「おはよう、お父さん」
僕は顔を上げて、その人を見た。
短い赤茶色の髪。ピアスだらけの耳。タンクトップのせいでよく見える、腕に入れた蓮のタトゥー。
168㎝の僕よりほんの1㎝くらい低い身長で、外にあまり出ないからか、白い肌。
これが僕のお父さんだ。
名前は、知らない。
「ちゃんと一人で起きれるようになれよ?もう中学三年生なんだし」
お父さんはそう言って、にぃっと笑った。
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