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「あ、アンタ大丈夫?辛いなら保健室連れていこうか?」
なんか、心配されてしまったーーー!?
「あ、いやー…えと」
黒井さんは困惑する私の額に自分の額をくっつける
「熱は無いか」
黒井さんの顔が目の前に…
…アレ、顔が熱い
「アンタ、顔赤いよ」
「ち、近い」
「え?」
黒井さんは急にハッと驚いたような顔をして後ろに飛び退くように下がった
「バっ…!バッカじゃないの!?」
よく、わからん人だなー
でも、可愛いのでなんでもいいや
「で、」
一段落して黒井さんが私に声をかけた
「何しにきたの?」
「いや、授業に呼び戻そうと」
黒井さんは冷たく笑った
「アンタが?なんで?」
「なんでって、クラスメイトだからだよ」
クラスメイトの命が危ないのだから助けなければとは言えない
聞かれて答えるのは難しい質問だなー…
「だって、黒井さんが…」
「私が何?」
黒井さんは冷笑の温度をさらに下げる
本当に冷たい
「私は今やってる授業の過程なんてとっくに納めてるし、理解もしてる。ここに来たのは高校卒業の名目が欲しいから」
「で、でもせっかくだから」
やっぱり、一筋縄ではいかないなー
でも、負けるわけには行かない(謎の闘志)
「せっかくってなに?」
きっと、彼女に周りの人間がみんな同じに見えるのだろうか
だが、命が掛かっているのだ
ここで、見捨てると
「…私に殺されるってか」
背後から物凄く低い声が響いた
「あ、え、諏訪先生」
諏訪先生は煙草を地面に叩き付け、足で踏み躙り、揉み消す
「今、何時だと思ってやがる」
完全に怒ってらっしゃる!?
私が竦み上がっていると怒りの鉾先が黒井さんに向いた
「おい、黒井」
「なに?」
黒井さんは気怠さを隠さずに対応する
「転校初日からサボりたぁ、いい度胸だな」
「サボリではありません。受ける意味が無いと判断したんです」
諏訪先生の怒りは臨界点に軽く達した
「あぁ?もう一回言ってみな」
「受ける意味が無いと判断したんです」
あわわわ!
この二人やばいって!
「言い訳するなら、今だぞ」
諏訪先生の怒りメーターが見えて怖いッ!
「しませんよ。そんなだから、三十路超えても結婚できないッ!?」
冷静な黒井さんの顔面に諏訪先生の大きな掌が覆った
「…私は既婚者だッ!」
見事なアイアンクローが黒井さんを襲う
ギリギリと嫌な音が響く
そして、黒井さんの悲鳴が学校中に響いた
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