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校門に出ると黒井さんがブレザーのポケットに手を無造作に突っ込み、壁に腰掛けて立っていた
黒井さんが何を見ていたか気になり、私も彼女の見ていた方を見てみたが、何もない
空でも見ていたのだろうか
だが、私はそんなものはどうでも良かった
私の眼前にはもはや、絵画とも呼べる空間が広がっていた
銀髪の美女がぼうっと空を見ている光景
これを描けば評価されるだろう
そんな、大仰なことを考えてしまうほど美しく、見蕩れた
「来たんだ」
黒井さんは私がいることに気付いて小さく呟いた
「うん、来たよ」
私は努めて笑顔を作る
強ばってないといいな
「あ、そう」
黒井さんは私が何か言おうとする前に歩き出した
「あ、ちょっと待ってー」
私も彼女を追いかけて歩き出す
そして、しばらくの無言
「スーパー寄っていい?」
初めに切り出したのは黒井さんだった
「あ、うん」
私が答えるのを聞いた瞬間再び無言になったが適当に話を始めることにする
「その髪って生まれつきなの? 」
「これ?」
若干黒井さんが不機嫌になった気がする
「これは、生まれつきの遺伝子異常、確か白皮症とかいう奴」
そして、黒井さんはムッとしながら続けた
「それに、これのせいで毎日日焼けどめ塗らないといけないし、目も弱いからコンタクトを入れなきゃいけないの」
ものすごく不機嫌そう
確かに自分の欠点を語っているのだ楽しいはずもない
少し無神経だったかもしれない
これからは気をつけよう
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