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翌日、朝方、ノートパソコンでネットを見ていたシズカは、内容に仰天して、パソコンを抱えて、陣平の部屋に飛び込んできた。
「陣平、大変!」
昨夜遅く帰宅した陣平は、まだ寝ていたが、その騒ぎに起こされた。
「ん?シズカ?一緒に寝たいの?」
陣平はシズカの肩をつかんで抱き寄せた。
「それどこじゃないって!
昨日の槍島の一件が、ネットに流れてる。」
陣平はそれでも、夢うつつだ。
「別にいいよ。」
シズカをつかんだまま、離さない。
「あ、こら!」
危うく陣平にキスされそうになり、シズカは脱出した。
これはダメだと思い、瀬織の部屋のドアを叩く。
「アネサン!大変!」
瀬織は下着姿でドアを開けた。
「何事?」
「うわ?なに?その人間離れしたスタイルの良さ!
ウェストほっそいわあ、
て、そうじゃなくて、槍島の闘いがネットに出てるの!」
「はい?今、行くからリビングで待ってて。」
瀬織はすぐに着替えてリビングに降りた。
陣平も、ようやく起きたらしい。
全員リビングに揃った。
シズカは、パソコンの動画画面を再生した。
エベルキン語で、タイトルが出ている。
「愛国英雄クソガ 大勝利!」
瀬織は、通訳しながら視聴する。
「日本の卑怯猿の罠をはねのけ、我らのクソガは、勝利を納めた。
いきなり槍島に、英雄クソガを呼びつけ、隠れて不意打ちを行う卑怯猿の姿!」
と、ナレーションとともに、陣平がクソガの首をつかんだ映像が流れる。
「国家機密のため、すべては公開されないが、見よ、この勇姿。」
映像は、闘う前と陣平達が去っていく後ろ姿が映っており、敗者が去る姿、と、紹介されている。
あらかじめ撮ってあったらしい勝利者インタビューもある。クソガは胸を張ってマイクに話す。
「日本の猿にもほねのあるのがいたものだ。敵ではなかったが、な。ははははは。
エベルキン大国万歳!次は野蛮な中丹国が相手か?」
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