1 前座

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翌日、朝方、ノートパソコンでネットを見ていたシズカは、内容に仰天して、パソコンを抱えて、陣平の部屋に飛び込んできた。 「陣平、大変!」 昨夜遅く帰宅した陣平は、まだ寝ていたが、その騒ぎに起こされた。 「ん?シズカ?一緒に寝たいの?」 陣平はシズカの肩をつかんで抱き寄せた。 「それどこじゃないって! 昨日の槍島の一件が、ネットに流れてる。」 陣平はそれでも、夢うつつだ。 「別にいいよ。」 シズカをつかんだまま、離さない。 「あ、こら!」 危うく陣平にキスされそうになり、シズカは脱出した。 これはダメだと思い、瀬織の部屋のドアを叩く。 「アネサン!大変!」 瀬織は下着姿でドアを開けた。 「何事?」 「うわ?なに?その人間離れしたスタイルの良さ! ウェストほっそいわあ、 て、そうじゃなくて、槍島の闘いがネットに出てるの!」 「はい?今、行くからリビングで待ってて。」 瀬織はすぐに着替えてリビングに降りた。 陣平も、ようやく起きたらしい。 全員リビングに揃った。 シズカは、パソコンの動画画面を再生した。 エベルキン語で、タイトルが出ている。 「愛国英雄クソガ 大勝利!」 瀬織は、通訳しながら視聴する。 「日本の卑怯猿の罠をはねのけ、我らのクソガは、勝利を納めた。 いきなり槍島に、英雄クソガを呼びつけ、隠れて不意打ちを行う卑怯猿の姿!」 と、ナレーションとともに、陣平がクソガの首をつかんだ映像が流れる。 「国家機密のため、すべては公開されないが、見よ、この勇姿。」 映像は、闘う前と陣平達が去っていく後ろ姿が映っており、敗者が去る姿、と、紹介されている。 あらかじめ撮ってあったらしい勝利者インタビューもある。クソガは胸を張ってマイクに話す。 「日本の猿にもほねのあるのがいたものだ。敵ではなかったが、な。ははははは。 エベルキン大国万歳!次は野蛮な中丹国が相手か?」
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