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瀬織は、苦笑いを浮かべた。
「捏造大好きエベルキン大国らしいわ。」
陣平は、ゲラゲラ笑う。
「やられた~!これはきたー!
どうしてくれよう?」
ナデシコは重い顔だ。
「これでは、陣平さんの顔がばれてしまいます。」
確かに、首をつかんだシーンでは、顔がわかる。
瀬織は電話をかけた。阿形を通じて外交ルートから苦情を言うためと、動画を削除させる動きをとった。
元の動画は削除されたが、1度流れた動画は繰り返しアップされる。
消えることはない。
瀬織は米本にもここ数日間、しつこく食い下がっている。
研究室の中に瀬織の声が響いた。
「これじゃ、日本が負けたみたいじゃないの!
捏造にも限度があるわよ!」
米本はうんざりしているようだ。
「だから、申し入れしてるわよ。」
「あんな国の申し入れなんか受けて、対戦なんかするからだわ。」
「やったものは仕方ない。」
「冗談じゃないわ!
ビシッと言ってよ。」
「公式見解なんか、出せるわけないでしょ?霊服というのがあって、戦争してるなんて、言えないわ。」
「相手は言ってるわよ!」
「エベルキンだからねえ。理屈や道理には縁がないわ。」
瀬織は自分でも無茶を言っているとわかっている。
対外的に出来ることが限られるのは承知だ。
しかし、堂々と捏造ばかりして、しかもそれをいつの間にか真実と思い込む性癖のエベルキン人には、我慢の限界が来ている。「いっそのこと、滅ぼしてしまおうかしら。20日もあれば、あらかた地獄に送れるわ。」
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