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米本はやや語気を強めた。
「バカなこといわないの。やろうとしたら、できるあなたが言うと、冗談にはならないのよ。」
「わかってるわよ。じゃあ、泣き寝入りってわけ?」
「そっちは私の役目。あなたは中丹国対策に専念して。」
「はいはい。」
瀬織はすっきりしないまま、電話を切った。
ファミリーレストランで、タブレットパソコンを置いて、エベルキン大国の槍島の動画を見ていた劉天風は、プッと吹き出した。
「何回見ても笑える。」
向かいに座っている美夢が呆れ顔をしている。
「もう、本番まで日がありません。
大丈夫ですの?」
天風は緊張はない。
「いくつか策はある。勝てるかどうかは、わからない。根拠なく自信を持てるエベルキン人とは違う。」
学校の屋上で、ナデシコ、スラリ、シズカが、それぞれ持ってきた3人分の弁当を陣平は食べている。
彼女達も自分の分の弁当を広げていた。
シズカが、陣平に聞いた。
「もう、本番まで日がないけど。
大丈夫?」
陣平に緊張はない。
「いくつか策はあるよ。勝てるかどうかは、わからない。根拠なく自信を持てるエベルキン人とは違うもん。」
弁当を食べ終わり、陣平は、
「物足りない…」
と、呟いた。
屋上に上がる階段の扉が開いた。
ややくたびれた白衣をひるがえし、ハカセが現れた。手に包みを持っている。
「聞いた通り、ここにいたか。」
包みを陣平に出した。
「差し入れだ。中味は点心詰め合わせの弁当だ。」
陣平は包みを受け取りながら
「ハカセが学校に乗り込むなんて、なにか、あったん?」
と聞く。
「いや、アネサンに、一件忠告したらな、直接、弁当渡しがてら、本人に言ってやれ、と言うことでな。」
陣平は聞いてるのか聞いてないのか、包みを明けて中味を食べ出す。
ナデシコが、眉をひそめた。
「忠告?」
ハカセは、フェンスから外を見る。
「陣平な、活動速度を速くした影響で、態度がでかくなったろ?」
ナデシコをはじめ、スラリ、シズカもうなずく。
ハカセは陣平をみた。
「早い話、酔っぱらいに近い状態なのだ。
気が大きくなり、本心により近いところが現れる。
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