1 前座

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米本はやや語気を強めた。 「バカなこといわないの。やろうとしたら、できるあなたが言うと、冗談にはならないのよ。」 「わかってるわよ。じゃあ、泣き寝入りってわけ?」 「そっちは私の役目。あなたは中丹国対策に専念して。」 「はいはい。」 瀬織はすっきりしないまま、電話を切った。 ファミリーレストランで、タブレットパソコンを置いて、エベルキン大国の槍島の動画を見ていた劉天風は、プッと吹き出した。 「何回見ても笑える。」 向かいに座っている美夢が呆れ顔をしている。 「もう、本番まで日がありません。 大丈夫ですの?」 天風は緊張はない。 「いくつか策はある。勝てるかどうかは、わからない。根拠なく自信を持てるエベルキン人とは違う。」 学校の屋上で、ナデシコ、スラリ、シズカが、それぞれ持ってきた3人分の弁当を陣平は食べている。 彼女達も自分の分の弁当を広げていた。 シズカが、陣平に聞いた。 「もう、本番まで日がないけど。 大丈夫?」 陣平に緊張はない。 「いくつか策はあるよ。勝てるかどうかは、わからない。根拠なく自信を持てるエベルキン人とは違うもん。」 弁当を食べ終わり、陣平は、 「物足りない…」 と、呟いた。 屋上に上がる階段の扉が開いた。 ややくたびれた白衣をひるがえし、ハカセが現れた。手に包みを持っている。 「聞いた通り、ここにいたか。」 包みを陣平に出した。 「差し入れだ。中味は点心詰め合わせの弁当だ。」 陣平は包みを受け取りながら 「ハカセが学校に乗り込むなんて、なにか、あったん?」 と聞く。 「いや、アネサンに、一件忠告したらな、直接、弁当渡しがてら、本人に言ってやれ、と言うことでな。」 陣平は聞いてるのか聞いてないのか、包みを明けて中味を食べ出す。 ナデシコが、眉をひそめた。 「忠告?」 ハカセは、フェンスから外を見る。 「陣平な、活動速度を速くした影響で、態度がでかくなったろ?」 ナデシコをはじめ、スラリ、シズカもうなずく。 ハカセは陣平をみた。 「早い話、酔っぱらいに近い状態なのだ。 気が大きくなり、本心により近いところが現れる。
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