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もちろん、ホントの酔っぱらいではないから、平衡感覚や眠気などは正常だ。
ただ、意識が酔っぱらいということ。
これはいささか判断が甘くなる。」
ナデシコがさらに深刻な顔をした。
「戦闘では、慎重さが足りなくなる?」
「そういうことだ。」
差し入れの点心を食べ終えて、陣平はスラリの太ももに頭を乗せて寝転がった。
「ハカセ、大胆さも必要だろ?」
ハカセは、鼻の頭を撫でた。
「今までは、用心と慎重さが売りだった陣平なんだが、今ではもう、わからないか。」
陣平はうとうとしている。
スラリは陣平の頭をいじっている。
そして、ハカセの方を見るでもなく、ハカセに聞いた。
「そいつは、もとに戻ることはないのかな?」
「心理テストでの結果と、神経伝達物質の体内量を測った結果から述べただけで、先のことはわからない。
実例が無いようなもんだからな。」
と、言いながらもハカセは、シズカをみた。
気がついたシズカが先に言った。
「兄さんは元からあんな感じだから、あまり変わった気はしなかった。
ただ、残忍なことができるようには、なっていった気がする。」
ハカセは伸びをした。
「では、後は頼む。ベリーに運転してもらってクルマで来たのでな。待たせてるんだ。」
ハカセは去った。
シズカは
「大丈夫かな?」
と、独り言を言った。
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