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天風との対戦の前の日、陣平と瀬織は出発した。
出来ることはやったが、活動速度は一時期伸びたものの、その後はあまり延びてない。
天風の言葉通り、時速150キロでの活動なら、そこそこついていけるだろう。
それがブラフなら、危険だ。
島に、やはり巡視船で向かう。
すでに周りには中丹国の船が2隻、浮かんでいる。
島は平地がキチンと作られていた。
平地の広さは野球場よりも広い。
船着き場もあるが、例により、陣平と瀬織はボートで接岸した。
平地はよくならされ、土は固めてある。
大がかりな工事がされたようだ。
瀬織はボートを降りると、
「あらかじめ、落とし穴でも掘っておけばよかった。」
と言う。
陣平は、あはは、と笑った。
「あちらが実効支配してる島だから、無理だよ。」
「わかってるわよ、それだけにあなたも罠に気をつけて。」
2人が船着き場から平地に上がると、まだ誰もいなかった。
陣平も、瀬織も、手ぶらではない。
リュックを背負っている。
陣平はリュックから水筒を出して飲んだ。
「来たかな?」
すぐに、人影が現れた。
5人だ。
1人は天風、もう1人は劉公才、そして、量産型ながら精鋭の、意志の鎧使い2人と、スキーの目出し帽のような、布地の覆面の人物だ。目の部分にはサングラスをしており、顔は見えない。
陣平は、覆面の人物のオーラが、どこかで見た気がした。
「前にどこかで…」
思い出せない。
劉公才が瀬織と、短い挨拶を交わした。
劉公才はあらためてルールを確認する。
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