2.本番

5/28
前へ
/50ページ
次へ
天風は、にや、と笑った。 「当たったら死ぬじゃねーか? しかし、そいつは、長いこと使えないって知ってるぜ。」 陣平は霊服を通常のテレビバージョンに戻す。 「気がもたないから、仕方ない。」 上空から降りた。 再び対峙した。 陣平はすぐに周りの地面にキックを叩き込む。 地面がえぐりかえった。 ならされた平地がなくなるほど、あちこちにキックをする。 スラリに言われて気がついた作戦だ。 障害物があろうがなかろうが、作ればいい。 天風は気づいた。 「そりゃまずい。速度が出せなくなる。」 天風は腕から気の刀を成形した。 シズカの刀に似ているが、ずっと大きい。 切りかかる。 陣平は、引きつった笑顔を顔に浮かべた。 「これはヤバイ! やはり兄妹だな!」 でこぼこになった地面が邪魔で、天風は速度が出ない。地面を、蹴って動いているからには、地面の不安定は速度に直結する。 慣性制御もしているが、天風のそれは充分ではない。 方向転換の際に、速度を大きく落とさずに済む役割はしているが、陣平ほどではない。 よって、周りの地面の盛り上がりを弾きながら、移動する力はない。 地面に頼らない陣平は速度が落ちない。邪魔な地面の盛り上がりを弾き飛ばしながら移動できる。 陣平は紙一重で避ける。 天風はいらだった。 「ちょこまかと!ゲームとおなじだな!」 「切られてたまるか。」 だが、ここで天風は本気になった。 「しゃあねー!本気出すぞ。」 ゴバッと音がする。 天風の鎧がさらに大きくなった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加