2.本番

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陣平は冷や汗が出てきた。 「なんか、すごくない? あんなの、聞いてないよ。」 天風は、地面の盛り上がりを、陣平と同じように弾き飛ばしながら、移動してきた。 「慣性制御をパワーアップした! これでどうだ!全開で動けるぜ!」 確かに速さも全開だ。 陣平の動きが追い付かない。 完全に速度では負けている。 天風の刀が降り下ろされる。 「なんの!」 陣平は霊服を前面に集中させた。 後ろの霊服が薄くなるが、一対一なら、問題ない。 ガキン! 刀が、陣平の霊服で止まった。 陣平はやはりと思う。 「速さもすごい、制御もすごい、でも刀まですごいってわけにはいかなかったみたいだね。気が足りてない!」 純然と切ることだけに特化したシズカの刀より切れ味は鈍いのだ。 攻撃を受けられた瞬間は動きが止まる。 活動速度が速くても、その一瞬は止まる。 この瞬間を陣平は待っていた。 陣平は、正拳突きを叩き込んだ。 「がはあっ!」 天風が10メートルほど吹っ飛んだ。 陣平は追い討ちをかけるべく、天風に迫る。 天風は、起き上がり、回避行動に出た。 こうなると速度では追い付けない。 陣平の攻撃は、空を切った。 天風は、距離をとり、体をチェックする。 「あばらが、3本以上おれたか?」 左胸がかなり痛む。 しかも、気力を全開で使ったために、力が落ちてきた。気が不足し始めたのだ。 「速さが落ちたら、やられる…」 陣平は、攻勢に出ている。 天風が避け続けるが、速度が落ちてきている。 劉公才は、量産型意志の鎧使いの2人と、覆面の人物に、あごをしゃくった。 意志の鎧使い2人が陣平を挟み、左右から体を押さえようとする。 陣平は、後退して逃げた。なかなか、つかまらない。 左側の1人を狙って陣平は前蹴りを入れる。 以前と違い、陣平の方が速いので攻撃が入った。 「ぐはあ!」 その1人は気絶した。
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