2.本番

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もう一人も殴る。こちらも気絶した。 だが、この2人は囮だった。 その間に、覆面の人物が近づいていた。 覆面をとる。そして挨拶をした。 「久しぶりです。」 頭を下げた。 陣平の動きが止まった。 「杉崎…尽詩!?」 エベルキン大国で拉致された杉崎だった。 結局、本人は拉致されて満足していると言う皮肉な結果になった。 シズカに陣平が腕を切られた一件である。 杉崎は、陣平に抱きついた。 陣平は、ゾッとした。 懸念した通り、すぐさまゾックリと、気を持っていかれた。 杉崎は他人の気を奪う体質である。 気を奪い、自分の体内に凝縮して貯蔵する。 それは杉崎が想いを寄せる人物にしか、放出出来ない。 生まれながらの気の充電池なのだ。 陣平の気がみるみる奪われ、霊服が揺らぎだした。 「ぐあっ!離れろ!」 杉崎を振りほどく。 「きゃいん!」 杉崎は、転んだ。 陣平は後退した。 明らかに霊服の形が、揺らぎだした。 ほんの数秒間で、気の8割は損失してしまった。 「以前より、吸収量が格段に増加してるのか? なんて吸い取り方なんだ!」 陣平は後退して瀬織の方に向かう。 だが、速度の速い天風が迫る。 追い付かれた。 天風も気が不足し始め、あばらも痛むため、速度が低下しているが、陣平も移動速度が落ちている。追い付かれた。 天風は、気の刀を振る。 「これで、終わりだ!」 陣平は避けようとしたが、間に合わない。 霊服も不安定だ。 「ならばっ!」 陣平は、全霊服の出力を、左腕だけに集めた。左腕だけで、天風の刀を受け止める。 少ない気力を集めた左腕でも、強度は足りた。 ガキン! と、音がした。 完全に受け止め…られなかった。 体を霊服で覆っていないと言うことは、生力、人間の力しかない。 かなり弱くなってるとはいえ、天風は意志の鎧のバカ力で刀をふりおろしている。 陣平の左肩が容易に脱臼した。 「うがっ!」 骨もヒビが入った。 刀を受けた衝撃で陣平は倒れた。 天風は、止めを刺すべく、刀を振り上げる。 「もらった!」 「ぬうっ、!」
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