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もう一人も殴る。こちらも気絶した。
だが、この2人は囮だった。
その間に、覆面の人物が近づいていた。
覆面をとる。そして挨拶をした。
「久しぶりです。」
頭を下げた。
陣平の動きが止まった。
「杉崎…尽詩!?」
エベルキン大国で拉致された杉崎だった。
結局、本人は拉致されて満足していると言う皮肉な結果になった。
シズカに陣平が腕を切られた一件である。
杉崎は、陣平に抱きついた。
陣平は、ゾッとした。
懸念した通り、すぐさまゾックリと、気を持っていかれた。
杉崎は他人の気を奪う体質である。
気を奪い、自分の体内に凝縮して貯蔵する。
それは杉崎が想いを寄せる人物にしか、放出出来ない。
生まれながらの気の充電池なのだ。
陣平の気がみるみる奪われ、霊服が揺らぎだした。
「ぐあっ!離れろ!」
杉崎を振りほどく。
「きゃいん!」
杉崎は、転んだ。
陣平は後退した。
明らかに霊服の形が、揺らぎだした。
ほんの数秒間で、気の8割は損失してしまった。
「以前より、吸収量が格段に増加してるのか?
なんて吸い取り方なんだ!」
陣平は後退して瀬織の方に向かう。
だが、速度の速い天風が迫る。
追い付かれた。
天風も気が不足し始め、あばらも痛むため、速度が低下しているが、陣平も移動速度が落ちている。追い付かれた。
天風は、気の刀を振る。
「これで、終わりだ!」
陣平は避けようとしたが、間に合わない。
霊服も不安定だ。
「ならばっ!」
陣平は、全霊服の出力を、左腕だけに集めた。左腕だけで、天風の刀を受け止める。
少ない気力を集めた左腕でも、強度は足りた。
ガキン!
と、音がした。
完全に受け止め…られなかった。
体を霊服で覆っていないと言うことは、生力、人間の力しかない。
かなり弱くなってるとはいえ、天風は意志の鎧のバカ力で刀をふりおろしている。
陣平の左肩が容易に脱臼した。
「うがっ!」
骨もヒビが入った。
刀を受けた衝撃で陣平は倒れた。
天風は、止めを刺すべく、刀を振り上げる。
「もらった!」
「ぬうっ、!」
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