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だが、
「がはあ!」
天風が、弾けとんだ。
瀬織が霊服の気でできた羽衣の帯を伸ばし、天風をどついたのだ。
帯に見えるだけで、威力は電柱でぶん殴られるのと変わらない衝撃がある。
「しょーがないから、手を出しちゃったわ。」
瀬織は、陣平の後ろに立っていた。
ジェイクンが、なにかを告げたが、霊服が弱っており、不明瞭だ。
「ちゅ…きん、7…」
聞いてる陣平は激痛でそれどころではない。
天風は起き上がる。
ダメージでふらふらだ。
「こいつは、まいったな…。
瀬織さんが出てきちまったか。」
天風は後退して杉崎の方に戻った。
陣平の霊服は、ほとんど消えた。
その隙に、瀬織が陣平を後ろから抱き抱えた。
「陣平ちゃん、ちょっと痛いわよ。」
後ろから陣平の左腕を抱えるように支え、ぐりん、と、前に回すように持ち上げて肩をはめた。
「うぎゃ!」
がくん、と外れた左肩がはまった。
「骨のヒビは治してる暇は無さそうね。
痛み止めできるかしら。」
瀬織は陣平の神経を麻痺させる処置を始めた。
陣平は、しゃべる余裕が出てきた。
「サンキュー、姉さん。
あちらは杉崎に充電してもらって、満タンで続行かな?」
「負けそうね。」
「左腕は使い物にならないしな…。
とにかく気を注入してよ。
どうすりゃいいのか、手はないけどさ。」
瀬織は、ふふん、と笑った。
「手はある。アタシがやる、って最終奥義が。」
その時、瀬織は周りの異変に気がついた。
「気配?」
パパパパパパ、と音がした。
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