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瀬織は反射的に陣平をかばう。
20発ほど、連続で遠距離から狙撃されたのだ。
狙撃と言うより、弾をばらまいた感じだ。
「がっ!」
かばいきれず、一発だけ陣平の右足のふくらはぎをかすった。。
瀬織はすぐに狙撃手を見つけた。
「中丹国の軍人が上陸してきたのね?!」
気を殺す訓練を積んだ狙撃手達が、密かに船から上陸してきていたのだ。
不幸中の幸いは、遠方からの狙撃なので、威力も弱い。。
狙撃手は、7人。瀬織が帯を伸ばし、すぐに5人を倒した。
あと2人は、意外なことに劉公才が殴り倒した。
劉は、狙撃手を一喝した。
「まだ負けてはいない!
余計な水をさしおって!
仲間を拾って、失せい!」
狙撃手は、剣幕に圧されて、かくかくと首を縦に振って、すぐに仲間を起こしながら撤退していく。
海岸に隠していた、上陸に使った小型のボートで逃げていく。
天風は、杉崎のところまできた。
「尽詩!」
「はいっ!」
「仙丹だっ!仙丹出せ!」
「あ、あれはダメです。仙人になってしまいます!」
「敵が右道瀬織では、勝ち目はない。
死んじまう。」
杉崎は、観念した。
「…仕方ないです。危険ですが、出します。」
杉崎は、なにかを吐くように、うめいた。
「おぶっ、うっ、…」
杉崎の口内に、小さいあめ玉ほどの光る珠が現れた。
劉公才は、気がついた。
「いかん!仙丹を飲むには、まったく早すぎる!」
劉公才は、走り出す。
瀬織も気づいた。
「馬鹿な!仙丹?」
「え?」
常人すら見える光る珠が、杉崎の口内にある。もちろん陣平にも見えた。
「なんだあれ?」
「集めた気を練って、仙丹を作らせたのね?
あれを取り込んだ人間は、仙人になる。
と、言われてる。」
「ええ?そんな便利なもんが…。」
瀬織は立ち上がる。
「そんな便利なものではないわ。
下手すれば死ぬ。」
瀬織は、自分が近づけば、天風は焦って仙丹を飲むと推測した。だから、止めに近づくことはしていない。
そこで、霊服の衣の帯を杉崎に伸ばして、拘束することにした。
「待ちなさい!」
瀬織の帯が、届いたが、遅かった。
杉崎の体を天風から、引き剥がしたものの、すでに天風は杉崎から仙丹を口移しに受けとった。
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