2.本番

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瀬織は反射的に陣平をかばう。 20発ほど、連続で遠距離から狙撃されたのだ。 狙撃と言うより、弾をばらまいた感じだ。 「がっ!」 かばいきれず、一発だけ陣平の右足のふくらはぎをかすった。。 瀬織はすぐに狙撃手を見つけた。 「中丹国の軍人が上陸してきたのね?!」 気を殺す訓練を積んだ狙撃手達が、密かに船から上陸してきていたのだ。 不幸中の幸いは、遠方からの狙撃なので、威力も弱い。。 狙撃手は、7人。瀬織が帯を伸ばし、すぐに5人を倒した。 あと2人は、意外なことに劉公才が殴り倒した。 劉は、狙撃手を一喝した。 「まだ負けてはいない! 余計な水をさしおって! 仲間を拾って、失せい!」 狙撃手は、剣幕に圧されて、かくかくと首を縦に振って、すぐに仲間を起こしながら撤退していく。 海岸に隠していた、上陸に使った小型のボートで逃げていく。 天風は、杉崎のところまできた。 「尽詩!」 「はいっ!」 「仙丹だっ!仙丹出せ!」 「あ、あれはダメです。仙人になってしまいます!」 「敵が右道瀬織では、勝ち目はない。 死んじまう。」 杉崎は、観念した。 「…仕方ないです。危険ですが、出します。」 杉崎は、なにかを吐くように、うめいた。 「おぶっ、うっ、…」 杉崎の口内に、小さいあめ玉ほどの光る珠が現れた。 劉公才は、気がついた。 「いかん!仙丹を飲むには、まったく早すぎる!」 劉公才は、走り出す。 瀬織も気づいた。 「馬鹿な!仙丹?」 「え?」 常人すら見える光る珠が、杉崎の口内にある。もちろん陣平にも見えた。 「なんだあれ?」 「集めた気を練って、仙丹を作らせたのね? あれを取り込んだ人間は、仙人になる。 と、言われてる。」 「ええ?そんな便利なもんが…。」 瀬織は立ち上がる。 「そんな便利なものではないわ。 下手すれば死ぬ。」 瀬織は、自分が近づけば、天風は焦って仙丹を飲むと推測した。だから、止めに近づくことはしていない。 そこで、霊服の衣の帯を杉崎に伸ばして、拘束することにした。 「待ちなさい!」 瀬織の帯が、届いたが、遅かった。 杉崎の体を天風から、引き剥がしたものの、すでに天風は杉崎から仙丹を口移しに受けとった。
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