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瀬織は、舌打ちした。
「ちっ!しまった!」
劉公才が、叫んだ。
「やめい!まだお前には無理だ!」
だが、天風は、飲み下した。
「さあ!これで俺は!」
天風は、そう叫んだが、地面に倒れて海老のように体を丸め、悶絶した。
「うがああああ!」
瀬織と陣平も走り出した。
陣平は、足をひきずっている。
劉公才が天風のところに着いて、地面でのたうつ天風にかがみこむ。
「まだ、お前には仙丹を受け入れる下地がない!
なんて無茶を!」
瀬織たちもそこについた。
瀬織がかがんで、天風の腹に手を当てた。
「もう取り出せない。融和してるわ!」
杉崎は、かがみこんだ。
「吸いとればいい!」
杉崎は、天風に手をあて、気を吸い取り出した。
収まる気配はない。
瀬織は、杉崎を止めさせた。
「杉崎、無理だわ。
体の変遷が始まってる。
手を出さない方がまだマシね。」
劉公才は、うなだれた。
「こんな馬鹿な真似をするとは。」
瀬織が劉公才に聞いた。
「仙丹を杉崎に作らせたのは、あなたでしょ?いずれ使うつもりだったのね。」
「そうだ。充分に子を成して、修行を積んでから、使うはずだった。」
「仙人になるってことは肉体を捨てること。
死なないと言うことは、生きていないということ。
急激に仙人になろうとするのは、自殺と変わらないわ。中丹国の仙術はそんな低レベルではないはず。キチンと継承されてないのかしら?
ま、アタシも陣平を仙人にするつもりだから同じ穴のムジナだけど、仙丹は使わない。」
瀬織は天風には、やれることがないので、陣平に気を注入し始めた。
天風は意識を失ったまま痙攣している。
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