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天風は、老人と中丹国語で話していた。
「…と、いうわけ。」
老人は表情に変化がない。
「挑まれて背はみせられんな。小さな日本には。
わかった。念のため、精鋭を送る。」
天風は嫌な顔をした。
「いらないよ、どうせ一時間くらいしか働けない量産の意志の鎧使いを寄越すんだろ?」
「まったく気は進まないが、充電器も送る。」
「ああ、あれ?あれは攻撃にも使える。
充電器が来るなら、それだけでも充分さ。」
老人は到底、天風の言うことなど聞き入れることはない顔だ。
天風は大袈裟にため息をついた。
「中丹国軍 仙術参謀部第1部 部長としては、駒の言うことは聞けないってか。
劉公才(リュウ ゴンカイ)。」
劉公才と呼ばれた老人はやや、眉を動かした。
「天風よ、仙術部隊は我が子も同然。
量産されるとは言えその精鋭部隊は、お前の兄弟そのもの。まして充電器を攻撃に使おうなど、恥を知れ。」
「わかったよ。まったく固いなあ。」
劉公才は、また無表情になる。
「で、日本くんだりまで行って、右道瀬織から慣性制御の秘訣は探れそうか?」
天風は、手のひらを横に振った。
「さっき言ったように、シズカがいるから俺の正体バレたじゃん?
実戦で探るしかないよ。」
天風が日本に来ている真の目的は、瀬織の慣性制御、重量制御能力を参考にするためだ。
いくら力が重機並にあっても、体重70キロの人間が、重量100トンの鉄の塊を殴り飛ばすことはできない。
この物理的な壁を越えるため、劉公才は天風に様々な能力改善実験を施してきた。
劉公才は、仙人のはしくれである。
もとは、仙術を医療に役立たせる研究をしていたが、軍に所属してからは、人体改造を研究してきた。
劉公才は、天風の体質が、活動速度をアップすることが向いていると読み取り、才能を引き出し、さらに強化してきた。
シズカについては、手をかけなかった。
劉公才は古い人間だ。うら若い女子を戦闘に使うために改造までするなど、考えもつかない。
女子は愛でるもの、その意識しかなかった。
シズカの刀は、自分で編み出した能力だ。
そして量産型意志の鎧使いを造りだした張本人でもある。
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