居酒屋まるのバレンタイン

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「前々から思っていたのだが・・・」 何を? 「おまえは私を愛していないのか?」 何を今更! これまで何を聞いていたんだ、こいつは! 「ミハイさん。申し訳ありませんが、俺は人間ですし男ですから。」 「そんな些細なことで愛してくれないのか、おまえは!」 これのどこが些細だ。 頭が痛くなる。 なんだろう、この言葉が通じない感は。 お互い日本語で話しているのに、噛み合っていない会話の応酬って。 「おまえが人間でも、ちっとも気にせんぞ。性別などどうとでもなる。」 おまえならな。 さっきの女に化けたミハイさんは、確かに美人だった。 サラサラの銀髪を後ろに流した、毛皮の似合う外人美女。 そんな感じだった。
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