12137人が本棚に入れています
本棚に追加
「ペーペーの頃はともかく、辞める前は一応営業成績トップとらせてもらって、とにかくお金貯めることばかりで。」
話しながら、俺はさっき勧めたのとは違うワインを出してきた。
ミハイさんの前のグラスに注ぐ。
「そんな生活だったんで、就職してからこのかた、恋愛なんて気にもかけてませんでした。というか、誰のこともそういう対象で見てきませんでした。」
ミハイさんは、黙って聞いていてくれる。
「なんで、どうもいけない。こんなにミハイさんが求婚してくれても、珠美さんや琴子さんのような美人が来ても、俺は皆さんを大切なお客さんとしか見れないんです。」
まあ、店主としては至極まっとうなところではあると思うが。
最初のコメントを投稿しよう!