居酒屋まるのバレンタイン

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「ペーペーの頃はともかく、辞める前は一応営業成績トップとらせてもらって、とにかくお金貯めることばかりで。」 話しながら、俺はさっき勧めたのとは違うワインを出してきた。 ミハイさんの前のグラスに注ぐ。 「そんな生活だったんで、就職してからこのかた、恋愛なんて気にもかけてませんでした。というか、誰のこともそういう対象で見てきませんでした。」 ミハイさんは、黙って聞いていてくれる。 「なんで、どうもいけない。こんなにミハイさんが求婚してくれても、珠美さんや琴子さんのような美人が来ても、俺は皆さんを大切なお客さんとしか見れないんです。」 まあ、店主としては至極まっとうなところではあると思うが。
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