居酒屋まるのバレンタイン

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だから、察しろ、吸血鬼。 やんわりお断りしてるんだぞ。 「それはつまり、私のことは恋愛対象ではないわけだな?」 「はい。」 「今は。」 「はい・・・・・・はい?」 「よく話してくれた!」 そう言って、ミハイさんに手を握られた。 ちょっと待て。 お断りしたってことを理解したのか? 「このように美しく優れた私を前に、本心を包み隠さず告白するとは、やはりおまえは清廉で心根の優しい人間だ。よかろう。今日のところは私が性急すぎた。おまえの気持ちが、近い将来、店主としてではなく恋愛対象として見られるであろうその日まで、もう少し穏やかに我が愛を育んでいこう。」 育むな。 てか、なんだ、このポジティブな解釈は!
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