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「口許ひくついてんぞ」
嘲るように笑われ、むっと表情を繕う。
「まあ正直オレからしたら夢だの現実だのって、なーんかくだらないけどね」
「夢の中のおまえが言うな」
「だからオレはおまえだっての」
「そんな荒唐無稽な話に付き合う気はない」
「語り合う気もないって?」
無言で肯定の意を放る。
「ははっ。まあオレもやっぱりそうなんだけどね。ここが夢でも現実でもどっちでもいいし」
「だから――」
「オレが言いたいのはそうじゃなくって。おまえ……ってかおまえはつまりオレなんだけど、それもべつにどうでもよくって……」
「なんなんだよ」
「だから、おまえって哀れっつうか不幸っつうか――なんともバカだよねーって話だよ」
デスクに置いてあったカフェオレを一口飲んでから、夢の中の僕は僕にそう言った。
「だってそうだろ。仮にここが夢だとしてだよ? その夢でまで、現実と変わらない部屋で現実と変わらない状況の中現実と変わらない仕事を自分に強いてるんだからよ。強いられる身にもなってみろ。くったくただよオレは。満身創痍。おかげでこんなブサイクに……ってそれは元からだった」
僕に喋らせないくらい饒舌にまくし立てておきながらその弁はしかしどこか的を射ない。
僕は先程まで眠っていたベッドに腰掛け、ため息先行で口を開いた。
「……わかってるよ。自分がバカなことくらい」
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