【〇】 ―零―

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芝生の上からむっくりと体を起こす義人。 一重目蓋が凛々しいその顔。 くっきりと隆起した鼻筋に乗るサングラス。 短かく明るいカラーの髪には、薄っすらとわかる程度に剃り込みのラインを入れている。 引き締まった筋肉質の体に纏ったニッカポッカを引き摺り、彼は歩きにくそうに大股開きになりながら家の門へと近付いていった。 「ふぁ~・・・。 老体なのに肉体労働ねぇ・・・。 もっといい仕事なかったのかよ!?」 文句を垂れながらも、義人は首をボキボキ鳴らして気合いを入れている。 見た目だけなら、彼はまだまだ若者なんだがな・・・。
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