【一】 ―壱―

2/35
前へ
/48ページ
次へ
高等部校舎の前にはもう既に人垣ができていた。 人垣を掻き分け、張り出されていたクラス分けの掲示の中から自分の名前を探す。 陽、月、星、宙・・・。 まるで某歌劇団を真似たかのような、違和感に満ち溢れたこのネーミング。 だけどこの学園に9年もいれば、このクラス表記が当たり前にすら思えてくる。 「えっと・・・、月組か。」 クラスの名称には意味がない。 だけど中等部の頃はずっと星組だったため、なんとなく“星組”というクラス名に愛着が湧いていた。 自分の所属クラスを確認した後は、この3年間同じクラスで過ごすそのメンバーを流し見る。 3年に一度しかクラス替えがないため、中等部と高等部は実質クラス替えがないものと考えられているのだ。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加