【一】 ―壱―

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「あ・・・、うちのクラス・・・。」 目新しいその名前は2つとも私と同じクラスに並んでいた。 そして周りの生徒たちも編入生の存在に気付き、至る所で彼らの名前を話題にしている。 「赤沢仁志・・・、緑川智也・・・?」 この辺りであまり聞き慣れない苗字。 ぽかんと掲示板を見上げていると、背後から誰かに肩を叩かれた。 思わず後ろを振り返る。 「あ・・・、葛原先輩!」 群がる1年生の集団に紛れて私の肩を叩いた彼。 “葛原勇実”、1級上の先輩だ。 彼とは中等部の新聞部在籍時代からの付き合いで、私は写真の撮影を担当する彼と組んでよく取材に出向いていた。 しかし、上級生である彼がどうしてここにいるのだろう・・・?
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