【一】 ―壱―

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「おはようございます。 どうしてここに・・・?」 2、3年生は始業式の時間まで、各自の教室でホームルームを行っているはず。 しかし彼は、どういう訳か1年生に紛れながらクラス発表の掲示の前に立っていたのだ。 なんとなく嫌な予感がする・・・。 彼の手を引き掲示板前の人垣を抜けその場から離れる。 そして周りの様子を伺った後、ややしかめっ面を浮かべ彼にこう問い質した。 「まさか、進級したばかりの今日から取材に行かされるんじゃないでしょうね!?」 恐らく図星。 葛原先輩は思惑を見抜かれ苦笑いを浮かべる。 そして私が逃げないようしっかりと手首を掴み、まるで女子のような甘えた口調でこう私に嘆願した。
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