序章

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「ほーい、買ってきたぞ。ひよりちゃんにはレモンティー」 「ありがと。茜はなに買ったの?」 「私もレモンティー買ったよ」 「んで、俺はお茶で…………。ほらよ、信二」 「ありが…………。おいっ!なんでじゃ!!」 俺が信二に手渡したのは、青汁。 もちろん、ちゃんとサイダーも買ってあるんだが、ちょっと冗談でいじめようと思った。 一緒に買いに行った茜ちゃんは、そのことを知っている。 「え?青汁じゃなかったか?」 「青汁もおいしいけど!おいしいけど!…………違うだろ!今、その気分じゃないだろ!」 なんか、テンションが上がってきたな、信二。 ってか、青汁っておいしいんだ。 「この場で青汁って…………!違うだろ!」 「わかったわかった。ちゃんと買ってあるよ」 「お姉ちゃん、相沢先輩、大丈夫?」 「元々こんな人だから、信二は」 なんか、久しぶりに楽しい。 そんな気がした。 あの日から、一年の夏から、楽しいことはなんにもなかった。 楽しもうと思ってなかったから。 多分、元気付ける為に呼んでくれたのかもしれない。
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