神殺しの鋼~誰が為の、傷痕~

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あなたは何時も 鋼鉄で武装された心で 私を抱きしめる 全てに背き 全てを敵に回しても 私を守ると 立ち塞がる全てを打ち砕き 二人の未来を切り開く 抱きしめるあなたの温もりに 私は言葉を無くし ただ甘えた、涙を流した 戦場へ赴くあなたの背中に 私はなんと言えばよかったのか 今、傷だらけのあなたの瞳に 私の姿は映らない。 その躯は、黒い傷痕で覆われ あなたに纏わり付いた 錆び付いた鉄の臭いが 私を抱きしめる。 あなたは、再び立ち上がる。 壊れた心のまま 傷ついた身体のまま 私からあなたを奪った戦場へ 冷たいその抱擁に 自分の甘えと罪を噛み締める もう、あなたは戦わなくていい あなたの傷が、心が癒えるなら 私に惜しむ、何物もない 私は祈る。あれほど憎んだ神に これ以上、私からあなたを奪わないでと でも、そんな言葉は届かない ならば、私も戦おう。 私の全てを炎に変えて 冷たい骸と魂を焼き尽くし 砕け散った心に 灼熱の想いを重ねよう。 私の中で胎動する ありったけの愛と憎しみで 何人にも砕かれぬ、 鋼に鍛えよう 何人にも犯されざる、鋼の鎧としよう 幾万の敵を切り伏せる鋼の剣としよう あなたと私の出会いと交わりを 憎むべき神に感謝を捧げる あなたから私を奪った世界に 私からあなたを奪った戦場に 私達は今、帰還する。 願いに、この剣を突き立てる、その日まで 想いに、この身が砕け散る、その日まで
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