第1話

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幼少の頃、所のいくつか年が上のお兄さん達とよく遊んでいた。遊びと言えば、面子岩登り(子供からすれば岩だが、今となっては大きな石だ。)、あとはおままごとといった所だろうか。自分の背よりも高い大きな石によじ登るのが大好きだった。妙な達成感があった。 そんな経験があってか、その後も一緒に遊ぶのは男の子が多かったと思う。時には学校の男の子10名近くと女の子は私と近所のお姉さんだけという時もあった。遊びも勿論、家の裏にあった砂山をかけあがったり、その砂山でかくれんぼや鬼ごっこ、存分に体を動かせる男の子寄りの遊びだ。 走り回り、追いかけ、笑い、けんかし、何かと男勝りな所もあって。ともかく外遊びが大好きな子だった。 小学校に上がっても相変わらずで、遊び相手に女の子の割合は増えていったが、遊びは外遊びを好む活発な友達と過ごした。 子供の頃から男の子と遊ぶことが自然だった私は、多少はおしゃれ、ファッションにも興味を持ち始め女性らしさを身に付けて行く中、男の子を異性だなんだと意識する気持ちもなく単なる遊び仲間、気の合う仲間楽しい仲間以上に全く考えもつかなかった。 それが。 とある女の子達に言われた一言で一変する。 「いつも男の子達とばっかり遊んでて、なにあの子?って皆言ってるよ!」 衝撃的な言葉だった。 それまでにない何とも言えない嫌な気持ちと、皆って?そんな風に思われてたの?様々な気持ちが交錯した。その頃良く遊んでいた中の数名の女の子だったので余計に傷ついた。今思えば何てことはない、恐らくその言葉を発した子達が恋愛感情を持っている男の子と話したり仲間として遊んでいたことが目についたのだろう。 今まで異性だと意識していなかった遊び仲間。ふざけたり、遊んだり、いつもと変わらないのに何故かその頃から『今話していることも勘ぐられている?』そんな思いと共に、見る見る顔が熱くなるのを感じた。 男の子と話すと赤面するようになってしまったのだ。 元々男勝り、加えて負けず嫌い、そんな一人の女の子は赤面していることを気づかれたくなかった。頬が熱くなるのを止めたいと思う程に赤面してしまう自分を。 楽しく活発にいたい気持ちとは裏腹に、徐々に男の子と遊ぶことが減っていった。 一つの言葉が生んだ小さな心の傷。とある女の子の人生を少し操作した一言だった。
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