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夏の妊娠
母親学級があった。
正直面倒臭くて出たくなかった。暑いし、涼しい所でボーッとしていたかったのに。
友達に誘われて渋々参加したけど、退屈過ぎる。
友達は真剣に聞いていた。
「ねぇ、聞いてんの?夏は気をつけた方がいいんだって!」
どの季節だって気をつける事はあるだろう。
「んもう!真面目に聞いとかないと何かあっても知らないよ!」
そう言ってたのに、
友達が死んだ。
夏なのに、ちゃんと気をつけたんだろうか。
それにしても暑い。
なるべく暗くて涼しい所に行こう。
出産には栄養が大切だ。
でも加減がわからず、最近はいつも栄養を取り過ぎてフラフラになることもある。
男はいいよなー。
涼しい所でボーッとしてたら、
いい匂いがしてきた。
その匂いにつられてフラフラーと寄って行くと、何かが急に押し寄せてくる気がして慌てて逃げた。
人間の手だ。
友達を圧死させた恐怖の手だ。
出産に必要な血をほんの少量欲しいだけなのに、なんで分けてくれないんだろう。
臭い線香の臭いには近寄らないようにしてるけど、
最近はスプレーやら、芳香剤やら、気を抜いてフラフラしてると危険な物がいっぱいになってきた。
この間、母親学級で、
人間がキャンプや花火で盛り上がってる時や、睡眠時を狙いましょうって言ってたからそうしてみよう。
ほら、真面目に受けてないようで、結構ちゃんと聞いてるでしょ。
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