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住宅街の中の大きな公園。
その端にある、木陰に置かれたベンチ。
夕暮れに包まれた時間、木陰のベンチは辺りより一層暗くなっている。
楓はそのベンチにゆっくりと近づいて行く。
自分が何を感じたのかは分からない、ただ少し気になったのだ。
ベンチに座る男は不審者かもしれない。
いや、むしろ不審者だと思っておくべきだ。
この近隣でも不審者情報が無いわけではない。
近づいた所で改めてその男を観察してみる。
少し疲れた雰囲気のみすぼらしい格好。
おそらく端正な顔立ちをしていると思われる。
と言うのもやつれていたり、髭がはえていたりして元々の顔がよくわからないのだ。
と、そこで男は楓の存在に気付いたらしく、目だけを動かして楓を視界に捉えた。
楓は少し迷ったが、意を決して少し歩み寄った。
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