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あの日から何日過ぎただろうか。
それすら定かではなくなるような平凡な日々を過ごす楓。
成績は中の下、運動は苦手で人付き合いも苦手。
友人と呼べる存在は極めて少なく、当然恋人もいない。
そんな彼女に特別なイベントがあるはずもなく、日々は淡々と過ぎていく。
「じゃあねー!また明日!」
数少ない友人の同級生、沙希と別れた楓は友人の姿を見送ると家路についた。
夕暮れの帰り道。
いつかの公園での出来事を思い出す。
ーーーチャンスかもしれないだろう?
胡散臭い自称[魔法使い]が言った言葉が頭に浮かぶ。
「願い事かぁ・・・」
現状に不満があるわけでも・・・
楓は立ち止まって考える。
不満は・・・ある。
平々凡々のちょっと下を生きる自分に、何か[特別]なモノがあればもっと素敵な日々が送れるかもしれない。
それが非現実的なら更に良い。
実に良い。
けれどそんな美味い話は無いことも知っている。
もう高校二年なのだ。
そんな夢物語を夢見るのは中学生の時までだ。
「・・・でも」
楓は小さなため息をついて再び歩き始めた。
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