第5話

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「そこ、そこが家」  「ここ?中まで連れてったげるよ。遠慮しないで」    と、二人で玄関を開けると、音に気づいて姉貴が出てきた。  姉貴は女の子に抱えられている俺を見て、一瞬ぎょっとし、それから俺の膝を  見て、さらに目を見開いた。  「あんた、どうしたの、それ」  俺をソファに座らせ、俺に肩を貸していた彼女が帰ろうとするのも、なんだか  んだと、座らせた。  俺から事のあらましを聞きながら、もちろん、この状況だから、俺は女らし  く言葉を選びながらだけど、姉貴は、膝の消毒をして、お茶を出してきた。  ときどき、彼女にも、状況を聞いている。  「ま、宅配便のあんちゃんも、めぐのかわいさに、くらっときたんでしょう。  ほんとに、ありがとう。めぐの恩人ね」  「いえいえ。  でも、めぐちゃんを、こういう格好で、外に出さない方がいいですよ」  「えっ?」  姉貴も俺も、彼女の言葉にぎょっとした。  ひょっとして、男だとバレてる?    「だって、めぐちゃん、女のあたしが見ても、すごくかわいいんだもん。  さっきの男も、ヨダレ垂らしそうな感じだったし」  なんだ、そっちか。  ほっとして姉貴の方を見ると、どうするって感じで俺をちらっと見た。  「そんなに、めぐ、かわいい?」  「はい。今まで会ったことのある中で、一番かわいいです。  それに、なんか初めて会った気がしないし。  顔、かわいいのに、声が低めのハスキーっていうのも、なんか、いいし」  これでもかなり無理して、声高めにしてるんだけどな?  「そう?なら、これからもめぐと仲良くしてやってくれる?  これもなにかの縁だし」  「もちろん。喜んで。  めぐちゃんが、あたしのこと、気に入ってくれるなら」  「気に入るもなにも。お、私こそ、うれしいです。  あの、名前、聞いてもいい?」  「あっ、そうだった。自己紹介してなかったよね?  えと、三石 優。  三つの石に、優勝の優。  優しいの優って言うと、なんか笑われるんだ。高1だよ」 。
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