平凡と就職と非常識と

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「はい、こちらアン・コモン受付担当、香久山でございます。」 数回の呼び出し音の後、電話の向こうから聞こえてきたのは女性の声だった。 「あの、求人情報誌を見て電話させていただきました。佐倉と申します。」 「求人・・・情報?・・・ああ!!そう言えば随分前に出したような・・・。あ、申し訳ありません、今まで求人情報誌を見て電話を頂いたのは初めてでしてつい。」 ・・・おいおい、本当に大丈夫かこの会社。 「カグヤマさん」といったか。 その声に随分と落ち着いた雰囲気を感じる。 「えっと、それはつまり・・・もう求人はしていないということですか?」 だとしたら、なんという不運だろうか。 しかし、返ってきたのは全く違う答えだった。 「いえいえ!!恥ずかしながら私共の会社は人材不足に喘いでいまして・・・佐倉さんさえよろしければ、是非面接をさせていただきたいと思います。といっても、恐らくは採用になるとは思いますが。」 なんてこったい。 「はい!是非お願いします!!」 無論、悩む理由は無い。 俺は二つ返事で返す。 ・・・その後、面接の場所や日時の約束を取り付け、電話を切った。
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