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見ておけばよかった…。
そうすれば、ある程度の覚悟もあっただろうし、あんなに驚かなかっただろう。
見ておけばよかった……。
そうすれば、俺の顔を見たあいつの顔が、あんなに歪むことはなかっただろう。
見ておけばよかった………。
そうすれば、あいつの相談に乗れたかもしれない。
何故思ってしまったのか。
なんだこいつは、と。
俺はファイルを直し、ベッドに倒れこんだ。
「何やってんだよ、俺は…。」
右腕を目に押し当て、唇を噛みしめる。
非常識な力を持って、一番不安なのは本人なのに。
「くそっ!!!」
怒りのあまり、左手でベッドを叩いた。
ダメだ。このままじゃ。
あいつが、クレアが潰れる。
……あの時の、俺のように。
俺はベッドから飛び起き、ペンで紙に文字を綴り、生徒寮へ走った。
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