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「…最悪の目覚めだ…。」
汗まみれで飛び起きた俺は思わず呟いた。
「よりによって今日見るなんて…ハァ。」
1人用にしては大きすぎるダブルベッドから降りた俺は顔を洗いに洗面所へと向かう。
鏡に映るのは肩に届かない漆黒のくせ毛、目に少しかぶるくらいに伸びた前髪。薄く化粧をすれば女性に見える顔立ち。髪色と同じく漆黒の瞳の少年。つまり俺だが。
顔を洗った後、金の輪の中心にキラリと輝く、紅い魔法石のイヤリングを着け終え、もう一度寝室に戻る。
にしても、広い。
この広さで一人部屋だというのだから、二人部屋はもっと広いのだろうか。
そんなことを思いながら、先日届いた制服に袖を通す。
今、俺はここ「アイシャール魔法学校」、学生寮の自室にいる。
あと一時間もすれば入学式が始まるため現在準備中だ。
この世界には”魔法”というものが流通していて、生きているものすべてが使用している。
生きているものすべて。というのは俺たち人間だけではない。
俺たち人間が住むこの大陸、リトセントと、魔族が住まう北の大陸、ザグード。
ザグードに住む奴らを人間は魔物と呼ぶ。
魔物たちは、人間を襲い、食らう。
正確には人間の魔力を食らい、自らの力を高めるらしい。
そんな魔物たちに対抗するために、魔法を極め、使う。
その魔法の使い方を含め、教育していくのが今から行く学校という機関である。
……正直面倒くさい。
学校行きたくない。
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