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「で、入学式そうそう遅刻した、と。」
「「はい……。」」
あのあと、訓練所の外で会話に花咲かせていたところ、声が聞こえたようで見つかった。
「ったく。初日から何やってんだよ。」
俺たちを説教しているこの先生。正直教師とは思えない。
銀色の髪が後ろでまとめられているものの腰まで伸びていて、銀色の細いフレーム眼鏡の奥に翠の瞳。
一見、格好いいハズだがその髪型がダメにしている感じだ。
とにかくそのボサボサヘアー、どうにかしてこい。
「……い。おい!『クレア・セリシア』!!聞いてるのか!!」
「ふぇ!?あ、はい。聞いてなかったです!!…あ。」
「…おい。」
この人に合う髪型について考えていたら呼ばれていたらしく、思わず本音が出た。そして突っ込まれた。
「まぁいい。もうすぐ式も終わるから、先、教室行っとけ。ペナルティは後で考える。」
お前らのクラスは1-Sな。
そう言って、先生は訓練所の中に戻った。
「…いくか。」
ああ。と答えて二人で教室へ向かった。
ご丁寧に昇降口に学校内の見取り図があったので、すんなり教室に着いた。
教室に着くと当たり前だが、誰も居なかった。
黒板にはどんな順番かわからないが、席順が書いてあった。
俺の名前はーっと。
「俺の後ろ、サボリ席だよ、クレア・セリシア君。」
なんで俺の名前…あぁ。そうか。さっきボサボサヘアーに呼ばれたっけ。
言われたとおり、俺の席は窓側の一番後ろ、教師に見つかりにくく、日の当たるサボリに持ってこいの席だった。
「あんがと。改めまして、クレア・セリシアだ。クレアでいい。」
「『リク・ハルマ』だ、リクでいい。よろしく、クレア。」
よろしく。と返し、しばらく話していると、入学式が終わったようで、ゾロゾロと教室に入ってきた。
入ってきた生徒たちが黒板を見て、自分たちの席へと座っていく。
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