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三人で笑っているとリクの隣に座っていた女生徒が振り返った。
「楽しそうね、私もその波に乗らしてもらおうかしら。」
その振り返った仕草に合わせて流れていく長い黄色のストレートヘアー。
まるで獲物を狩る虎のような強い橙の眼光。
「『リーア・リレスタ』よ。出来れば仲良くしてもらいたいのだけど。」
なるほど。この気配、「獣人」(ジュウジン)か。
獣人。魔物の中でも獣(ビス-ト)と呼ばれる種族の血が混じった人間。
普通の人間よりも自己治癒力が高く、身体能力も高い。
見た目は普通の人間と同じだが、自分の意志で獣の姿に変われるらしい。
一部の人間にはよく思われていないため、出来れば、と彼女も言ったのだろう。
獣人には二種いる。
まだ母親の中にいる時に、母体が獣に襲われ、獣人になったケース。
三才までの間に、襲われたケース。
獣人と獣人の子供でも普通の人間が生まれる。
どっちにしろ、不幸としか言えないことだが。
「なるほど。特に偏見は無い、是非ともよろしくしたい。」
セリフとともに彼女に手を伸ばす。所謂握手を求めた形で俺の動きは止まる。
何も言ってないのに、と驚き一瞬固まった彼女だがすぐに俺の手を掴んだ。
リクもティトも手を伸ばしたので、特になにも思わないのだろう。
ーーあとで聞いた話だが、リーアの「できれば」は獣人のこともそうだが、1番は女子だけど、だったらしい。--
一部始終を見ていたクラスの連中も、大丈夫そうだ。
一人を除いて。
俺の真逆の席に座る、他とは違う深緑の特待生用制服のやつ。
直感した。あいつとは衝突するだろう、と。
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