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あの時。
教師らしくない。というのが、この人への第一印象だった。
「ぁー。一年間お前らの担任になった『レン・ハルマ』だ。問題は起こすなよ、俺が何か言われるから。」
そして、何故教師になった。これが第二の印象。
「入学早々だが、魔力と属性の測定すっから、端から順番に隣の教室来い。」
と言われてから約10分経過。
待っているやつは何をしてろとは言われていないので、片っ端から声をかけて仲良くなっているやつとか、持参した本を読んでいるやつとか、色々分かれている。
測定経過といえばクラスの3/2が終わったぐらいで、順番で行くと俺がラストだ。
それから暫らくして、リーアの顔が少し綻んでいたり、ユーリスが上機嫌で帰ってきたり、リクがちょっと不満気で帰ってきたりと反応が様々で面白かった。
リクが帰ってきたということは、ようやく俺の番である……が、ものすごく行きたくない。
ため息を一つ、席へと落としてレン先生の元へ足を進めた。
隣の教室のドアを開けると、ものすごい顔したレン先生がいた。
「ふぅ。ようやくさいごか、さすがに疲れた。」
おい。と内心でツッコミを入れて、見慣れた水晶に手を置く。
この水晶は魔力を流すと、その魔力に反応して光り数字が表示され、魔力測定に使われる。
どういう仕組なのかは未だに不明で、研究者たちがこうじゃないか、ああじゃないかと、仮定を立てまくっている。
さっさと終わらせて帰りたい感が丸見えな先生を横目に魔力を流した。
水晶が虹色に光りだし俺の手をすり抜けて、俺の魔力量が水晶の上に投影された。
それを見て先生が手元のファイルに数値を書く。
「2000か。魔法は苦手か?」
普通の学生なら2500から3500くらいだから、俺の数値を見て「普通より少ない」=魔法が苦手、と考えたわけか。
苦手って程でもないですけど…と曖昧な回答をして、苦笑い。
俺の回答に満足したのかは不明だが、先生はそうか。とだけ言い、片手に納まる大きさの黒い巾着袋を俺に投げ渡した。
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