5446人が本棚に入れています
本棚に追加
「はは、俺のことで機嫌悪い柚穂さんも可愛い」
「いちいち悪趣味……」
そう思う気持ちは間違いなく本心なのに、あたしの頬はどういう訳か、緩んでしまう。
「ていうか……、あの……、そろそろ離してほしい……」
「は?だめ。やだ」
頭をすりすりされて、くすぐったい。
「こ、こら、千尋くん」
「ん?その怒り方、好きー」
「……」
もう、怒るに怒れない。
本当は、ずっと周りの視線が気になってしょうがない。
「柚穂さん、こういうの苦手なんでしょ。知ってるけど、ごめん、もうちょっとだけ。学校では、ちゃんと離れてるから」
胸が、ギュッと痛くなる。
瞳先輩との約束……。
最初のコメントを投稿しよう!