「好きだから」

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「はは、俺のことで機嫌悪い柚穂さんも可愛い」 「いちいち悪趣味……」 そう思う気持ちは間違いなく本心なのに、あたしの頬はどういう訳か、緩んでしまう。 「ていうか……、あの……、そろそろ離してほしい……」 「は?だめ。やだ」 頭をすりすりされて、くすぐったい。 「こ、こら、千尋くん」 「ん?その怒り方、好きー」 「……」 もう、怒るに怒れない。 本当は、ずっと周りの視線が気になってしょうがない。 「柚穂さん、こういうの苦手なんでしょ。知ってるけど、ごめん、もうちょっとだけ。学校では、ちゃんと離れてるから」 胸が、ギュッと痛くなる。 瞳先輩との約束……。
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