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目を向けられたななせはビクッと反応して泣き顔を隠すように俯いた。
「だ、大体!そんな髪色してる方がおかしいから子供達も珍しがるんでしょ…遺伝なのか知らないけど黒に染めるべきじゃない!?皆も思うでしょう!?」
まだ言うかクソババァ…。
キンキンと耳に響く、うぜぇ…。
オレは机に乗っかって耳をふさいだ。
周りを見渡すと親達が気まずそうに視線をそらした。
「先生も!そう思うでしょう!?」
「えっ…あ…」
急に話を振られた先生は、狼狽える。
しっかりしろよー。
「へー、母親譲りなんですかー」
……場違いな間延びした声。
犯人は見なくてもわかる。
「アンタ…はぁ……」
ほら、母さんが呆れてる。
「えぇ…。私は仕事に支障が出るので、茶色に染めてますが…私と色が似ちゃったものですから…」
父親は普通なんですけど…とポツポツと話し出す。
「えーと、伊織くん?」
親父の問い掛けにコクリと頷くななせ。
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